「のんびり暮らしたい」という気持がありました。のんびりといっても、二人とも働くつもりでいたので、定年退職してからではなく、若いうちの方が余力もあり好きなことができると思い、田舎暮らしを考えました。

これまで暮らしてきた大阪府から近くて、車でも便利な所を探していて、その中で知人に紹介されたのがこちらの土地でした。見に来た時に、夕日が沈むのが見えて、それが綺麗で。その後、土地を購入して徐々に家や庭を作っていきました。もう10年以上前になりますね。
今暮らしている「晴海ヶ丘」では30～40世帯（2割程度）が定住で、あとは別荘として利用されているので平日は静かですね。定年退職をした方が土地を購入されていることが多い地域です。景色は絶景だと思います。夕日は凄くきれいですよ。私はこれまで都会で暮らしてきて、なかなか夕日が沈むところを見ることもなかったので「あぁ、いいな」と思いました。

空気が都会と全然違うんですよね。星もきれい。それに都会だとアスファルトで暑いけど、ここだとやっぱり風が抜けていくので、夏でもクーラーが要らなかったりするのも嬉しいです。

大阪府でしか暮らしてこなかったので、知らない土地へ移住することが楽しみではあるものの、不安でもありましたね。
あとは実際に住んでみると、買い物には不便さがありますね。週に一回コープさんが来てくれますし、ショッピングセンターにも自分で運転して行くけれど、往復1時間かかるのでちょっと疲れますね。この辺は特にないですからね。街灯がないので、夜になると暗いのも少し不安でした。

「どう働こう」と考えたときに、夢としてずっと抱えていた「雑貨屋」をやりたいと思ったんです。お店では世界各地の雑貨や布、手作りの品を取り扱っています。
お店の名前“Smicco”は、前職の知人がつけてくれた“cantinho”（＝ポルトガル語で「隅っこ」を意味する）から着想を受けて「片隅にあるだけでも存在感がある」雑貨をお客さんと楽しみたいという想いから名付けました。
今は店頭やイベントに出店しての販売ですが、今後はネットでの取引も始めたいと考えています。
お客さんは島内の人が多いですが、島外の人ももっと来てもらえたらと思っています。たまたまでは来ない場所にある店なので、わざわざ来てくれるお客さんやリピーターの方はありがたいですね。また、お店をしていることで、人に出会うきっかけになったり、友達ができたり、そこからまた出店の声掛けもしてもらったりして、それもありがたいです。
夫は畑を借りて農業をしています。もともとは漁業をしたいと考えていたのですが、畑を借りて野菜作りをする中で農業に関心が向いていき、“あわじFANクラブ”さんに相談したり農業研修を経て農業を始めました。もちろん農地を借りるといっても登録されている農地がなかなか無かったり、農機具も安価ではないので一筋縄ではいかないこともありますね。2年前にはイノブタの被害に遭ったりもしました。苦労もいろいろありますが、無農薬でこだわって作っています。農産物は“美菜恋来屋”（南あわじ市にある直売所）に卸したり、イベントで出店して販売することもあります。

10月中旬から、平日はsmiccoとは別の仕事に勤め始めました。
これまでは平日もお店を開けていたのですが、当分の間smiccoの営業は土日のみにしています。
今は平日・休日の区別なく畑に行くことが多いので、なかなかゆっくりできませんね。二人とも忙しく働いてますが、もう少し年を重ねたらのんびり畑仕事ができたらいいな～と思っています。

都会ではできない、ここでしかできないことがあるなら絶対やってみた方がいいと思います。「やってみて、ダメならダメで」くらいの気持ちでね。
やってみるのは、できたら若いうちの方がいいと思います。子供がいれば、いろいろ懸念もあるだろうけど、何かしたいことがあるなら体の動くうちの方がいい。大阪府から来ている知り合いもいるけれど、子供は思ったより馴染むのが早いですよ。
簡単ではないだろうけど、ここでやりたいことがあるなら若いうちにやってみるのがいいと思います。